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2009年3月 4日
■[書籍]もうすぐとらドラ完結するらしいからそれまでに再読する試み その3
時間があいてしまいましたが、とらドラ再読感想第三回目です。例によってネタバレ満載ですのでご注意のほどを。
あ、最初にお詫びと訂正を。
前回のインコちゃんの件ですが、竜児が卵からかえしたという描写があるというご指摘をいただきました。……いやはやお恥ずかしい。
さて、ようやく1巻の最後まで。
最初に、クッキー事件の最後で出てきた、やっちゃんの『薄ーい超能力』の件。
読み返すまで全く忘れていたんだけど、これは一体何なんだろう。『やっちゃんから受け継いだ超能力のおかげで大河を助けることができた』という形で、特にその後も否定されていない。ここだけなんかファンタジー文脈で違和感がある。
何らかの比喩として最終巻で回収されるのかな?
でもって、やっぱり1巻といえば、大河の告白。
――竜児、わかってない。
どうしてあれだけ不器用な大河が、苦労しながらも、真っ直ぐに告白することができたのか。
今後、なんだかんだあるけど、このときを除いて、大河は告白に成功していない。なんでこの時だけ告白できたのか。しかも、たったひとりで。
電柱をやっつけた後、大河は竜児を解放した。あの時、大河は竜児がみたように、自分を囲む敵と戦ってもいただろうけど、もう一つ、大きなものを殺したんだと思う。
それは、自分の中の竜児という存在だ。
大河にとって竜児は理解不能な存在だったはずだ。自分が何をやらかそうとも、どこかしら弱っている部分を見つけてきて、ただひたすらに世話を焼いてくる。しかも、明らかに邪念がない。利己的な人間ばかりを見てきた大河には本当に理解不能だったろう。
でも、大河にはそんな父親のような、兄のような、あるいは弟のような、いや、それらどれでもなく、竜児のような存在が必要だった。
つきはなしてもなじっても、そばに居てくれる竜児が必要だった。
威嚇しなくても怖くない、竜児が必要だった。
きっとそれは恋なんかよりも切実だった。
そんな自分の中の竜児を切り捨てた上で、決めた覚悟だから、大河は失敗するわけにはいかなかった。身を切るような喪失感が、恋の熱でゆだりそうになる大河の頭を覚ましていた。そう思う。
だからあそこで、あふれ出してしまったのだ。よりにもよって北村の目の前で。
喪った竜児が自分にとってどんな存在だったのかが、口から噴き出してしまったんだと思う。
竜児、わかってない。
そして、みのりんは多分、わかってた。
ここから、すでにボタンのかけ違いがはじまっていたんだなあ……。
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投稿者 文月そら : 04:06 | コメント (0) | トラックバック