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2006年6月30日
■[書籍]ガンパレードオーケストラ-白の章-
僕の中では見た瞬間に買う組み合わせというのがあって、この「ガンパレ+榊涼介氏」というのもそのうちの一つです。
これまで榊氏はガンパレ本編のノベライズをすすめてこられたわけですが、この本により、現在アニメおよびゲームで展開している「白の章」「緑の章」「青の章」のノベライズも担当してもらえる流れができたようで個人的に非常に喜ばしいです。
さて、この本自体のお話。
5121小隊のほうも、軍隊というよりは寄せ集めといった印象の強い部隊でしたが、今回の第108警護師団 石田小隊の寄せ集め度はその何倍も上です。
アニメ版ではこの辺、本当にヒドくて、低い士気・全体的な職務怠慢は言うに及ばず、作戦行動自体へのサボタージュやら、明白な命令無視、隊長である石田に対するいじめまがいの行為を一部隊員が延々と繰り返すなど、個人的にはサブタイトルである「青森ペンギン伝説」を「青森DQN伝説」に書き換えたいほどでした。
ゲーム版ではそのへんの要素が非常に薄くて安心したものでしたが、小説版ではアニメほどヒドくはないものの、一部隊員たちが当初石田に反感を持ったり、あわよくば更迭してやろうとする要素が取り込んであります。
ただこの辺、本当に上手いと思うんですけど、アニメでは個人的・感情的反発が主だったその動機が、自己保身に変わっているんですよね。
元々、この物語世界における青森という土地は幻獣との戦いの前線では全くなく、その後方もいいとこ後方。それゆえに、例えば補給線などの警備のための部隊や、練度の低い学兵の部隊が多く展開していたのですが、幻獣側の奇襲により、のんべんだらりと展開していたそれら警備部隊が、いきなり最前線部隊になってしまったという背景があったりします。……そういう状況なら、「懲罰を受けない程度に今までどおり落ちこぼれ部隊の名前に甘んじて、そのうち来る応援部隊の展開と、戦況の好転を待とう」と考える人間がいるのもある意味当然であり、それら隊員たちの反感も理解できました。良いアレンジだと思います。
おおまかな流れとしては、そういうばらばらな隊員たちの心を石田が持ち前のがむしゃらさと戦闘センスによってまとめあげていくお話なんですが、それだけには終わらず……まあネタバレは避けますが例えば「ラボ」、それをめぐる隊員たちの(ある意味ムチャクチャな)過去とか、「幻獣共生派」とか、「芝村閥をめぐる云々」とか、そういう難しい要素も巧みに取り入れられています。
旧作からのファンには嬉しいことに、5121小隊の面々も、結構登場したりします。それも、隠しキャラ扱いだったゲーム版とは異なり、かなり物語的にも重要な位置で、です。個人的には滝川×森が仲よさげに登場したあたりが最高でしたが、善行×原や茜大輔あたりもかなり登場します。この調子なら今後も、舞や厚志をはじめ、他の面々もかなり活躍しそうです。
しかし、森さん。
貴方が「下手に探ると事故死するから」って言うと物凄く説得力がありますね……。
ということで、今回の本も面白かったです。
……ただ、○○天国はどうかと思うわけですよ。ええ。(笑)
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投稿者 文月そら : 01:38 | コメント (0) | トラックバック