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2011年11月19日
■[アニメ/感想/書籍]『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』ブームは何故落ち着いてしまったのか
8巻発売直前までの俺妹(俺の妹がこんなに可愛いわけがない)は、まさしく絶頂期だったといえるでしょう。
割と運次第なアニメ化もそれなりの高評価を得、新規読者が増えた上で、7巻最後の黒猫の告白から今後の展開がどうなるのか、に、大きな注目が集まり、方々で全身全霊を傾けた議論、煽り合い、多数派工作が展開されました。
そして8巻発売。
内容自体は理解できる。という話は発売当初の感想にも書きましたが、私自身としても、あるいは周囲のファンの反応を見ていても、あの後、色々落ち着いてしまった感が否めません。
実際、9巻もちゃんと読んでいますが、感想エントリは書かずじまいでした。
思えば黒猫の告白、およびその後の交際開始展開には、もの凄い締め切り効果が働いていたと思います。
これまで微妙なバランスの上で、ある意味十年一日のごとく成り立っていた京介をめぐる人間関係が、確実に一歩前に進み、(黒猫がそのまま彼女になるのか否かはともかく)ついに何らかの結論がだされるはずだという期待、あるいは予感が強く働いたのです。
そうなると、近い将来、おそらく9巻あたりまでには出されるであろう(と当時思っていた)『結論』をめぐって、ファン心理は加速しました。
見えてきてしまったゴールが、自分の期待するモノなのかどうか、最高潮に高まった不安と期待は……しかし8巻で、肩すかしをくらうことになりました。
『なんだ結局、当分結論は出ないのか』
この感想は、それぞれ立場は違えど、多くの読者に共通するものだったのではないでしょうか。
7巻発売以前の状態に戻っただけとも言えますが、ここがクライマックスかとばかりに盛り上がった以上、元の木阿弥状態にはやはり残念さが漂います。
まあ、9巻の日向の『高坂くん超かっけー』が何を意味するのかによっては、次巻あたりで大きな動きがある可能性もありますが、散々踊らされた後だけに……あんま期待はできないかなー。
演出論的な話になりますけど、読者はフィクションに、何らかの刺激(感動とか恐怖とか共感とか成功体験とか絶望とか、あとかわいいとかエロとか)を求めています。
京介に彼女が出来るというイベントは恐らく本作中最大の刺激を読者にもたらすカードです。
ただし、これを不用意に使ってしまうと、それ以降、作中で何が起きても物足りないということになってしまいかねません。
最大級の刺激をすでに受けてしまっているために、読者があらゆることに慣れてしまうのです。
今後、京介に本当に彼女ができても、すでに一度体験してしまった刺激なので、インパクトはどうしても薄れます。
この最強のカードを、不完全燃焼な形で使ってしまったことは、俺妹という作品のファンとして、残念だなあとどうしても思ってしまいます。8巻、9巻を読んでから時間が経つにつれ、一層そういう念が強くなりました。
正直、結論を出さないのなら、あのままずっとラブコメしていてほしかった。
もちろん今後も読んでいきます。
私なんぞの浅薄な懸念を吹き飛ばすような展開を期待しています。
当方に土下座の用意あり。
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投稿者 文月そら : 16:33 | コメント (0) | トラックバック