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2008年10月 1日

[アニメ]コードギアスR2 裏切りの終わり コードギアスR2 裏切りの終わり

 いやしかし物凄い物語だったなーというのが、全てが終わった今の印象です。
 ほぼ毎週にわたって、世界の、敵と味方の枠組み自体をゆるがす大事件が発生し、いつ誰が敵になるか、味方になるか、あるいは死ぬのか、まるで予想がつかない……というか、とにかく視聴者の予想を裏切るためだけに物語をぶんまわしている感じすらしました。
 キャラクタが物語に振り回される話というのはわりとよくありますが、展開に物語世界全体がぶん回されているお話は初めて見ました。一週とばすと、しばらく話が全くわからなくなるほどでした。

 おかげで、物語の中心から離れてしまったキャラクタは、華々しくも毒々しい展開に毒気を抜かれるのか、必要以上にキャラが薄くなってしまう傾向がありましたね。特に終盤のカレンやCCに顕著だったように思います。

 その一方で、ルルーシュの物語としては意外なほど綺麗に収束しました。

 ルルーシュは、失ったものを取り戻すために戦いをはじめました。
 妹ナナリーの瞳と足。
 妹と自分の平穏な生活。
 非業の死を遂げた母マリアンヌ。
 スザクの境遇についても、当初の目的の中に入っていたのかもしれません。

 しかし、悼んだ母は結局父である強力皇帝ワカモトの野望、人類補完計画の共謀者であり、仇の一部でした。守るべきナナリーは人質にとられ、のちに総督として自らの意思で赴任することで自立を示し(後には光すら取り戻し)、ルルーシュは話が進むほどに戦いの目的を喪失していきます。
 一方で、振り返ればユフィとシャーリー、その他沢山のムクロが足元に転がり、スザクが復讐の目を光らせている。

 取り戻そうとはじめた戦いは、結局更に失い続けるだけの戦いでした。

 もしユフィのところで立ち止まることができれば、帝国と黒の騎士団は講和し、あの時点ならまだルルーシュはナナリーと平和に暮らせたかもしれない。

 シャーリーのところなら、彼女を介してスザクとまともな関係修復ができ、きっと違った展開を得られたことでしょう。

 彼女らは、ルルーシュの正体を知った上で、それを受け入れ、許そうとしていました。

 思えば他のルルーシュの正体を知って助力していた者たちは、みんなルルーシュの共犯者でした。CCはもちろん、ロロもカレンも咲世子さんもジェレミアも、ルルーシュと共に手を汚す者だったのです。
 だから、誰もルルーシュに許しを与えることができなかった。
 たとえ許されることではないとわかってはいても、そういう存在があれば、ルルーシュはあそこまで暴走せずに済んだだろうと思います。

 そうして再登場したのが、一度は死んだと思われていたナナリーです。
 彼女もまた、手を汚していないもの、でした。
 しかし彼女は、アレをカチカチ カチカチやることで自ら舞台に上ってしまった。

 もはやルルーシュを救えるものは、舞台上に誰もいなくなってしまいました。

 失われたものはもう一つも取り戻せない。一方でルルーシュが戦ってきたチェスの盤面たる世界は、最早、各人、各陣営に渦巻く遺恨の嵐でぐちゃぐちゃです。
 父母への復讐を一応果たしたルルーシュは、スザクに幕引きの提案をしました。

 それがゼロレクイエム。

 もはや幕引きにルルーシュの死は欠かせません。しかし、あの状況でただ死んでも、とっ散らかってしまった世界は収拾できません。
 恐らく世界統一にあたり、シュナイゼルは、フレイアを用いた徹底的な粛清を行うでしょう。また、誰もが誰かを恨んでいる状況ですので、しばらくは凄惨で混沌とした時代が続くことになるでしょう。

 だからルルーシュは、自分の死をできる限り高く売りつけることにしました。皇帝となり、シュナイゼルを討ち、世界の悪意を一手に引き受けた上で、『ゼロ』に刺されて見せたのです。
 関係者を全て公衆の面前でハリツケにして見せたのは、彼らが全員ルルーシュの敵=民衆の味方だと思わせるためでしょう。

 ここでちょっと気になるのは、ジェレミアです。彼だけは最後の最後まで、誰の目からもルルーシュの側近のままです。
 ジェレミアについてはもう一つ気になることがあります。シュナイゼルとの決戦の折、アーニャを倒したジェレミアが、記憶がないというアーニャにギアスキャンセラーをかけたと思しきシーンがあります。
 アーニャに記憶がないのは、マリアンヌのギアスが原因です。ここで少なくとも、マリアンヌ殺害事件の唯一の目撃者であるアーニャから、事件の真相を、そしてもしかすると、乗っ取られていた間の記憶も聞かされた可能性があります。
 ……いや、ラストのオレンジ畑シーンを思えば、恐らくそういう話を聞かされたのだろうと思います。あれはアーニャを不憫に思っての行動でしょうから。

 ――だとすると、ちょっと凄いことになります。

 マリアンヌの目的を知り、アーニャからマリアンヌが出て行ったタイミングを知り、その同じタイミングで皇帝をルルーシュが殺したことを考えれば……彼が真実忠誠を捧げるべき相手、マリアンヌを消したのもまた、ルルーシュであることも、容易に推測がつくはずなのです。

 それでも彼は、最後までルルーシュの側近であり続けたのでしょうか……?

 ところでこの、全員がとっかえひっかえ、お互いを裏切り続けた物語の中で、実は一度もルルーシュを裏切っていない(敵対する立場に立ったことがない)人が、一人います。咲世子さんです(最後のアレは、ルルーシュの指示ですから)。忠節の人といえば、前述のジェレミア卿の印象が鮮烈ですが、髪の毛くるくるがチャーミングな超時空メイド忍者、咲世子さんの存在も忘れてはなりません。
 ……しかし、物語の最初に、ただのナナリー付きのメイドとして登場した咲世子さんが、ここまでの縦横無尽の活躍をみせるとは、当初誰が予想したことでしょう。
 彼女がいなければ、ナナリーがアレで生きていたなんて絶対にいえませんでした。物語に愛されたキャラでした。

 そして迎えた結末、ルルーシュの死。

 最期の最後に唯一ルルーシュを救い得た存在であるナナリーに、ルルーシュの真意が伝わったこと。
 良かったと、安堵しました。ルルーシュは、ここは例外なく世界中を騙しきらねばならないと思いつつも、本音ではナナリーにだけは分かってほしかっただろうと思うので。
 良い幕引きだったと思います。

 

 ……とまあ、もう日記を書く習慣をなくしつつある私が、気持ちの整理をつけるためにここまでだらだらと書かずにはいられないほど、面白い物語でした、ということです。ありがとギアス!

 
 

 で、ルルーシュと同じく、マクロスFもまた、これまで毎週楽しませてくれました。
 感想としては、2クールに渡る、空前絶後のPVだったなあと。
 特に最終回のこれでもかと畳み掛けてくるメドレーと弾幕戦闘の嵐にはしびれました。ルルーシュがひたすら展開で圧倒することにこだわった作品であったのに対し、マクロスFはひたすら映像美と音楽で圧倒することにこだわった作品であったなあと。要するに『マクロス』である、ということに徹底的にこだわった作品でした。

 ただ、ラストが3Pエンドすぎる(笑)

投稿者 文月そら : 2008年10月 1日 19:57

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