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2011年2月 1日

[ゲーム/感想]うみねこのなく頃にとは何だったのか〜Ep8プレイ後の個人的総括〜 うみねこのなく頃にとは何だったのか〜Ep8プレイ後の個人的総括〜

※本エントリはネタバレのみで構成されています。ご注意ください。


 
 
 
 

 『真相なきミステリにして犯人のいるファンタジ』という感じでしたね。

 随分と思い切った幕を引いたなあというのが一番大きな感想です。
 ミステリの定義をどこに置くのかという話だと思うのですが、フーダニット(犯人は誰だ)という意味では、一応前のエピソードで黒幕が語られたわけですが、結局個々の事件の実行犯は明言されませんでした。ハウダニット(どうやって)ホワイダニット(動機)についても、やはり大枠が語られたのみで、詳細はほのめかされたに留まりました。
 つまり真相という意味では、エピソード7で語られた内容にとどまり、エピソード8というのは、幕引きだけに特化した物語であった、と認識しています。これをミステリと呼ぶのか、ファンタジと呼ぶのかは、本当に読者次第なんだろうなと。個人的にはどちらとも呼べません。うみねこはうみねこだったと思います(笑)

 ひぐらしの解答編でもみられた演出なのですが、竜騎士さんは我々観客を舞台にあげるのが好きだなあと、改めて思いました(『惨劇を哂え』などのCD販売時の煽り文句や、罪滅し編の『惨劇を期待していた地獄の観劇者ども』『悪魔どもが喜ぶ脚本』などの台詞)。
 それにしても今回は直接的でしたね。『真相究明』が『悪趣味な醜聞暴露』に置き換わって、プレイヤーたる我々の好奇心は、まるで芸能リポーターさながらの醜悪な悪魔となって虚構の六軒島を食い尽くしてしまいました。叩きつけられた皮肉に思わす苦笑してしまいましたけど、第三者であることを許さず、否応なく舞台に巻き込んでいこうとする演出は面白かったです。

 私はどちらかというとまともに推理していたほうではなくて、かといってファンタジをまるごと受け入れていたわけでもなく、人間ドラマとしての物語に興味をもって読んでいたので、このエピソード8にはトリックよりも『実際に起こった出来事』と『それをめぐる心情』に期待していました。だからそれが語られなかったのは残念です。

 特に紗音であり、嘉音であり、あるいは理御であり、クレル=ヤス=ベアトリーチェであった人物が、本当に愛した人は誰だったのかがすげえ気になっていたので、これがわからなかったのは本当に残念です。
 だってこの人、下手すると人格の数だけ恋してやがるので(笑)
 どうか譲治のアニキが泣く羽目になっていないことを祈りたい。
 (というかこれこそ芸能的な出歯亀興味なのかも……(笑))

 それでもざっくり言って、以下のことは正しかったとみていいようです。

・ループ世界ではない
・幻想描写は全て創作
・絵羽生還、縁寿をひきとり、真相を隠したまま死去
・戦人生還

 でもって、絵羽生還のエピソード3は、絵羽が匂わせ、縁寿が想像していた真相だったんじゃないですかね。戦人が悪のエヴァと最後まで勇敢に戦い、敗れた。しかし戦人が殺される描写だけはなかった、というあたりからも。

 これは単なる想像ですけど、真相を最後まで語らず、口ではどう言っても縁寿に全財産を相続させた絵羽は、多分犯人ではないですね。露悪的に振舞い続け、身を挺して真相を守ったようにも見える絵羽のふるまいから言うと、案外エピソード8の推理ミニゲームの通り、縁寿の肉親、留弗夫一家主犯説が本当なのかもしれません。……ただ、その場合最愛の家族を殺された絵羽が縁寿をひきとって守るかというと疑問なんですが。

 あと気になるのは、戦人が脱出の際、ベアトリーチェを伴っていたという描写ですね。
 これが本当だとするなら、事件の過程でベアトリーチェの正体を戦人は知り、彼女もベアトリーチェとしての自分を選択して脱出したいうことになり、すると譲治アニキが泣いてしまうんですが……。

 一応これでうみねこのなく頃にという物語は幕引きとなったわけですが、こういうメタの上にメタを重ねて、さらにその上から真相を想像させようとする物語が、ここまで沢山の読者を伴って完結したのはすごいことだなあと思います。だって普通こんな複雑なギミックの物語はこんなに読まれませんもの。読むの大変で(笑)
 大ヒットを飛ばした作家は、自分の書きたいものを書いて、それを沢山の人に読んでもらえる。それはとてもうらやましいことだなあと、個人的に思いました。

さて、次の夏コミでひぐらしみたいに『礼』は出るのかしら。一応出るような話はあったけれども。出るならまた買おうと思います。

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投稿者 文月そら : 00:57 | コメント (0) | トラックバック