2011年12月 5日
■[アニメ感想書籍]『境界線上のホライゾン』よもやま話2(自重しないVer.)
なんか意外とホライゾンで検索してこられる方がおられるので、ホライゾン話をもう一度やってみようかと。
ホライゾンを楽しむコツは、わからんとこはすっとばして自分の好きなところを中心に見ることだ、というお話を前回したと思うんですが、では私が具体的に何を中心にホライゾンをみているかといえば、余こと東と、車椅子のミリアムと、幽霊少女の折りなす擬似家族コントです。
いかんせん話の本筋と今のところあんまり関係がなく、しかも4巻中現在でも幽霊少女の正体がまるで分かっていない等、不明な点も多いため、アニメでは残念ながら省かれがちです。
しかし、箱入り、というか世俗と完全に切り離されて育ったせいで全く性的なことについて知識のない東と、「女の子が攻略できるなんて思い上がりよ。世の女の子は、がんばる男の子をみて難易度を下げてあげるのよ」などと嘯きつつ、物凄い勢いで難易度が落下し続ける系女子、ミリアムのラブコメがたまらなく好きなんですわ。
実は、ミリアムの正体が某超有名人の襲名者だという考察もあったりして、しかもそれが結構説得力あったりするんで今後が不穏な気もしますけど、まあ東がなんとかするでしょう。というかしろ。
さらに、これは前作もそうだったんですけど、この作品は他にも、ものすげえ沢山カップルが登場するんです。
しかもそれぞれがそれぞれなりにラブラブすぎてたまらん。男女カップルはもちろん、女性同士だったり、今回は今のところ男性同士ってのはないけど、とにかくあっちゃこっちゃでラブが米っているので、ラブコメ好きとしてはたまりません。
しかも大体マンツーマンラブなので、ギスギスしたところが全然ない点も個人的に評価を高くしているところです。でもとりあえず点蔵は爆発しろ。
ここで根本に立ち返って、境界線上のホライゾンという物語がどういう物語かといえば、意思の物語であると言えると思います。
アニメでやったところですと、自動人形の鹿角さんと本多・忠勝が身を捨てて本懐を遂げるシーン。
目の見えない鈴がホライゾンの思い出を語り、ホライゾンを助けてと訴えかけるシーン。
敵側だったはずの正純がトーリに「必ずホライゾンへの道をつけてやる」と宣言するシーン。
ああいう、強い意志が道理をけっとばすシーンが、いつも力強く描かれています。
ホライゾン世界は末世という、まあ平たく言うと世界の破滅、消滅へ向かって進んでいる世界です。
その滅びの運命に、意思ある者達が、それぞれの立場で抗う物語。
そういうところが、私は好きです。
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投稿者 文月そら : 01:26 | コメント (0) | トラックバック
2011年11月23日
■[ゲーム感想]elonaたのしい
最近、elonaというフリーのローグライクゲームをやっています。
公式ページはこちら。
http://homepage3.nifty.com/rfish/elona_top.html
ローグライクといっても、いわゆる風来のシレン系統じゃなくて、ローグ版ウルティマオンラインみたいなゲームです。
ちなみに、elonaというタイトルですが、別にえろくないです。
もうとにかく自由度が高くて、一応世界の命運をどうたらする系のメインストーリは存在しているんですが、別に全く無視してもいい。
ゲームをはじめるとチュートリアルがあるんですが、これも放置してもいい。
戦士、魔法使い、盗賊などになって冒険をしてもいいし、巻物とか杖とかを作って、店に出して商人をしてもいい。店を持たずに各町の交易品を、価格差を利用して売り買いする行商人になることもできる。
単に観光客としてうろうろしててもいいし、人を殺しまくったり盗みまくって、お尋ね者になってもいい。売春すら可能。
プレイ可能な種族は人間やエルフ系はもちろん、妖精、ゴーレム、果てはかたつむりなど基本種族だけで11種族。職業はおなじみの戦士魔法使いにはじまってピアニストに観光客なんてのもあります。
まあ、空腹、飢え死にの概念があるので食わなければならないし、犯罪者になる覚悟がないなら毎月税金を納めなければならない。
だから必然的にある程度稼ぐ必要は出てくるけれど、それ以外は本当になにをしていてもいいゲームです。
先ほどウルティマオンラインの名前を挙げましたが、要するにああいう、ゲーム世界に住むゲームです。
ただし、オンラインゲームではないので、仲間が待っているからとか、義務があるから、とかいった理由で縛られることもありません。黙々シングルプレーできます。
ただ、決して取っ付き易くはないです。
自由度が高い分、コマンドは多岐にわたりますし、世界観がすごく独特なので、絶対に最初はわけがわかりません。プレイ動画とかを観てからプレイすべきです。
初心者向けおすすめプレイ動画はこれ(ニコニコ動画)。安心のやる夫シリーズ。
でもって攻略Wikiはこれ。
ちなみに、私の使っているキャラは当然のように美汐という名前なんですが、ランダム生成の異名付けでかなり粘って「狐の奇跡」という異名を出せたことに大変満足しています。
……でもこのゲーム、油断するとすぐ異形化してしまうので、首が太くなったとか、目が4つになったとか言われるたびにリセットしてます。正直他の名前にしときゃよかったとも……。
そんなわけでなんか今、美汐さん羽生えちゃってるんですが、それはかわいいので放置してます。
最後に、4gameに古い紹介記事があるので、張っておきますね。
http://www.4gamer.net/games/040/G004096/20080627031/
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2011年11月19日
■[アニメ感想書籍]『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』ブームは何故落ち着いてしまったのか
8巻発売直前までの俺妹(俺の妹がこんなに可愛いわけがない)は、まさしく絶頂期だったといえるでしょう。
割と運次第なアニメ化もそれなりの高評価を得、新規読者が増えた上で、7巻最後の黒猫の告白から今後の展開がどうなるのか、に、大きな注目が集まり、方々で全身全霊を傾けた議論、煽り合い、多数派工作が展開されました。
そして8巻発売。
内容自体は理解できる。という話は発売当初の感想にも書きましたが、私自身としても、あるいは周囲のファンの反応を見ていても、あの後、色々落ち着いてしまった感が否めません。
実際、9巻もちゃんと読んでいますが、感想エントリは書かずじまいでした。
思えば黒猫の告白、およびその後の交際開始展開には、もの凄い締め切り効果が働いていたと思います。
これまで微妙なバランスの上で、ある意味十年一日のごとく成り立っていた京介をめぐる人間関係が、確実に一歩前に進み、(黒猫がそのまま彼女になるのか否かはともかく)ついに何らかの結論がだされるはずだという期待、あるいは予感が強く働いたのです。
そうなると、近い将来、おそらく9巻あたりまでには出されるであろう(と当時思っていた)『結論』をめぐって、ファン心理は加速しました。
見えてきてしまったゴールが、自分の期待するモノなのかどうか、最高潮に高まった不安と期待は……しかし8巻で、肩すかしをくらうことになりました。
『なんだ結局、当分結論は出ないのか』
この感想は、それぞれ立場は違えど、多くの読者に共通するものだったのではないでしょうか。
7巻発売以前の状態に戻っただけとも言えますが、ここがクライマックスかとばかりに盛り上がった以上、元の木阿弥状態にはやはり残念さが漂います。
まあ、9巻の日向の『高坂くん超かっけー』が何を意味するのかによっては、次巻あたりで大きな動きがある可能性もありますが、散々踊らされた後だけに……あんま期待はできないかなー。
演出論的な話になりますけど、読者はフィクションに、何らかの刺激(感動とか恐怖とか共感とか成功体験とか絶望とか、あとかわいいとかエロとか)を求めています。
京介に彼女が出来るというイベントは恐らく本作中最大の刺激を読者にもたらすカードです。
ただし、これを不用意に使ってしまうと、それ以降、作中で何が起きても物足りないということになってしまいかねません。
最大級の刺激をすでに受けてしまっているために、読者があらゆることに慣れてしまうのです。
今後、京介に本当に彼女ができても、すでに一度体験してしまった刺激なので、インパクトはどうしても薄れます。
この最強のカードを、不完全燃焼な形で使ってしまったことは、俺妹という作品のファンとして、残念だなあとどうしても思ってしまいます。8巻、9巻を読んでから時間が経つにつれ、一層そういう念が強くなりました。
正直、結論を出さないのなら、あのままずっとラブコメしていてほしかった。
もちろん今後も読んでいきます。
私なんぞの浅薄な懸念を吹き飛ばすような展開を期待しています。
当方に土下座の用意あり。
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投稿者 文月そら : 16:33 | コメント (0) | トラックバック
2011年11月18日
■[アニメ感想書籍]『境界線上のホライゾン』よもやま話
現在絶賛アニメ放映中の境界線上のホライゾン。
最初アニメ化するって聞いたときは正直耳を疑いました。
だって(一応この世界の歴史を下敷きにしているとはいえ)完全に異世界の話で、オリジナル設定だらけですから、アニメという媒体には最も向かないタイプの話だと思ったからです。
まあ単行本の厚さを見てもアニメ化に向かなそうだというのは分かると思いますけど、本当のところを言えばホライゾンシリーズの内容を全部読んですら設定を語ることは出来ず、その前の『終わりのクロニクル』さらに前の『都市シリーズ』まで含めた、というかホライゾンが終わったあとも続いていくロードマップがすでに存在する、壮大過ぎる歴史サーガなんですよ。
もう絶対に既存ファンだけしかついて行けない内容になるに違いない……と思っていたんですが、実況まとめサイトなんかを見ると、意外と新規の人も残っているみたいですね。
まあ、川上稔氏の作品群を読むときの鉄則は『わかんなかったら読み飛ばす』なので、アニメで細かいことを気にしないで好きなとこどりをして観る、ということができた人には、氏の作品は会うかも知れません。
なんせ、既刊全部読んでいても、突然新設定が出てきて、初読時には全く意味が分からないなんてこと、日常茶飯事ですから……。
アニメはどこまでやるんですかね。1巻最後までかな。
2巻行ってイギリスに行ってしまうと、薬中詩人ベンジョンソンさんという、非常に物議をかもしそうな人がでてくるので心配です(笑
ええ、某陸上選手の話じゃないですよ。歴史上実在した、詩人のベンジョンソンです。あの人とは関係ないです。ええ、きっとそうです。
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投稿者 文月そら : 00:32 | コメント (0) | トラックバック
2011年11月15日
■[感想書籍]『神様のメモ帳8』杉井光
いやね、もう続き読むのやめようと思ってたんですよ。
ちょっと彩夏放置が酷すぎないかと。
まあ、変に事件に関わらせると、記憶が戻って大変なことになりかねないというのは分かるんですけど、それにしたって彩夏があまりにも蚊帳の外すぎる。むしろメオとかのほうが目立つ有様。話そのものは面白いんですけど、なんか読んでて辛くなってきたので、7巻を読み終わったところでもう8巻を買うのはやめようと。
ところが書店で一応手にとって、折り返しを見てみたら……おいおい、彩夏かかわっとるやん……。
帰ってきた悪夢との対決。
そしてラストの4人で迎えた大団円。
もう何よりも、これからは彩夏がハブられなさそうだというのが一番嬉しい第八巻でございました。まあ、彩夏も、全てを取り戻したわけじゃないにせよ。
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投稿者 文月そら : 21:55 | コメント (0) | トラックバック
2011年11月14日
■[感想書籍]『冷たい校舎の時は止まる』辻村深月
書籍の感想には、書影やらアマゾンリンクやらをはるようにしてたんですけど、結局そういう手間があるもんだからよけいに更新しなくなるんだとわかったので、今後は字だけで、もっと気軽に感想書いてみようと思いました。
さて。
『冷たい校舎の時は止まる』
辻村深月さんのメフィスト賞受賞作です。
考えてみるとネタバレしないで感想を書くのが非常に難しい作品なわけですが、丁寧な作風に好感を持てます。レベルEの某話を下敷きにしているんじゃないかと思うんですが、その一ネタにとどまらず、重層的に伏線を巡らせる、非常にテクニカルな作風です。
今時珍しく、いわゆる『読者への挑戦』があって、材料が出そろったところで犯人が誰なのかをストレートに問いかけてきます。
私の成績としては、仕掛け人は分かったんですけど、とあるキャラクタの役割を完全に読み違えていて、読了後に思わずやられたとつぶやきました……。
それでいて語り口は軽快かつ読みやすいところも良いです。
割と長いお話ですが、ホライゾンよりはましです。長さ相応の読み応えもありますので、是非オススメしたいと思います。
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投稿者 文月そら : 23:19 | コメント (0) | トラックバック
2011年6月26日
■[ゲーム感想]【Steins;Gateネタばれ】鳳凰院凶真という存在
観測範囲内にシュタゲプレイ中の人がいたりしたので、なんとなく完全ネタばれをさけていたのですが、その人もめでたくシュタインズゲートに到達したということで、全開のネタばれをお届けする環境が個人的に整いました。
今回は鳳凰院凶真という存在についてお話しようと思います。
鳳凰院凶真。
祖母を失い、この世界への興味を失ったまゆりを、この世界に引き戻すために、二人の間にあったファンタジーを具現化した存在。
まゆりを『人質』とし、世界を自分の都合で振り回す、天才マッドサイエンティスト。
自分よりも強く、自信にあふれ、常に夢を語る道化。
元々鳳凰院凶真というのは、彼と、彼の仲間を守るためのトリックスターとして生まれたのです。
でも、そのまゆりが収束する死の運命から逃れられないとなった時、鳳凰院凶真の幻想は全くの無力でした。結局彼自身は平凡な大学生でしかなかったからです。
世界を振り回すことなぞできない。
いや、たまたまできたDメールで振り回すことはできても、仲間を守ることなんてちっともできない。
まゆりを助けることもできない。
それどころか鈴羽の、フェイリスの、るかの願いを、思い出を消し去る羽目にすらなります。
思えばトゥルールート前までの岡部倫太郎の戦いは、ひたすらマイナスをゼロにする戦いでした。
やったことといえば、とにかく送ってしまったDメールを打ち消すことだけ。
そしてようやく戻った『始まりと終わりのプロローグ』には、今度は紅莉栖がいない。
でも、一つだけスタート地点と大きく違うことがありました。
紅莉栖が大切な存在になっていたということです。
もうこれはゼロに戻ったとすら言えない。
むしろ、岡部個人としてはマイナスかもしれない。
それでも、この戦いを『負け』とするわけにはいかない。
そんなことをしては、これまで踏みにじってきた思いを、本当に無にすることになるからです。
だから岡部は、無力さに死にきった鳳凰院凶真を無理やりたきつけ『勝利宣言』をして世界線を移ってきたのです。
まゆりの時は、少なくとも指針がありました。
歪めた過去を正せば、助けられるはずだという。
でも紅莉栖の場合にはそれがない。どうしたらまゆりも紅莉栖も死なせない世界線にいけるのか分からない。
砂漠の真ん中から装備無しで抜け出そうとするようなものです。
できるかもしれない。でもその前に力尽きてしまう可能性のほうが大きい。
それでも一縷の可能性にかけてみたら、他ならぬ自分が紅莉栖を殺す羽目になってしまった。
できるはずがない。
常人にはとてもできない。
……それでも、岡部は結局諦められなかった。
設定資料集によれば、この世界線においても、タイムマシンを完成させたのはダルだという話です。
でも、このミッションに必要なのは、完成したタイムマシンだけではありません。
歴史をどう変えれば世界線を移動できるのか。その確証がなければ全ては無駄です。
岡部は、自分の特性である『リーディングシュタイナー』を研究し、世界線理論を完成に導いたのでしょう。
その証拠は、あの動画Dメールです。
オープニングで受信したときは文字化けしていましたが、携帯の一画面に収まる程度で明らかに動画としては情報量が少ないです。
これは小説版によれば、無数の世界線に32バイトずつ動画を送信し、目的とする世界線の、目的とする時点で再構築するという超技術だそうです。なんだそれ。尋常な話ではありません。
同じく岡部が発明したというダイバージェンスメーターも相当滅茶苦茶な発明だと思いますが、そんなレベルは完全に超越しています。
元々タイムリープマシンの発案は、紅莉栖でもダルでもなく、岡部なわけですし、彼は彼なりに、やはり天才だったのでしょう。
あるいは、執念で天才の領域に到達したのでしょう。
ただ、牧瀬紅莉栖を助けるために。
自分の仲間一人を助けるために、世界中を振り回すマッドサイエンティスト。
彼は本当に鳳凰院凶真になったのです。
恐らくは、岡部倫太郎を殺して。
まず間違いなく、未来の鳳凰院凶真はそれなりの地位と名誉を築いているはずです。
大きな研究には、何より地位とお金がいるのです。
そして研究者としては、自分の頭の中に構築した理論。積み重ねた実績。いずれも何よりも大切な財産のはずです。
それら全てを放り出して「意味なぞない」と言い放ち、ただの無力な大学生からやり直す計画。積み上げたそれら全てを、ただ紅莉栖を取り戻すためだけに使う計画。
それが『オペレーションスクルド』。
なんだよそれ。かっこよすぎるだろ。
最後の世界改変とともに消え去ったヒーロー。
自らは決して紅莉栖と再会できない彼のことを、覚えていなければならないと思います。
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投稿者 文月そら : 13:55 | コメント (0) | トラックバック
2011年6月23日
■[アニメゲーム感想]シュタインズゲート(Steins;Gate)にハマったの記
今アニメで放映中のシュタインズゲートですが、途中まで観てから、ちらほらとネットでネタばれを踏んでしまったりしまして、ネタばれされ切る前にと思い、原作ゲームをプレイしました。ちなみにPC版。
中盤以降、展開が加速してからはあっという間に引き込まれ、トゥルーエンドを迎えてからは毎日シュタゲのことを考えています。
しかし個人史としても、ドラマCDまで買ってしまったのは実にkanon以来であり、キャラソンなんてkanonですら手を出さなかったであろう領域であり(kanonにキャラソンはないけど)、結構すごいハマり様であるといえます。
何がそんなに気に入ったかという話をすると、ほとんど全部ネタばれになってしまうんですが、今日はそれほど大きなネタばれにならない範囲でお話しようかと。完全にネタばれを絶ちたい方以外で、お付き合い下さい。
最初にアニメで観ていた時に惹かれたのは、実在の事物をからめた楽しげな物語上のギミックです。
たとえばジョンタイター。
実際の歴史では、2000年に米国のネット掲示板に現れた、2036年からやってきたタイムトラベラーを自称する人物です。
私がこの人物を知ったのは2chのオカルト板でしたが、好事家の間ではそれなりの知名度があります。
ジョンタイターの予言なるものが有名ですが、彼のタイムトラベルの影響によって、彼の知っている歴史とは違う時間の流れになっているそうで、外れても不思議はないと言っている、言い訳が完璧な面白い予言者です。
ただ、彼の言ったことには真実も含まれており、シュタゲのキーアイテムとして出てくるIBM5100の隠し機能というのは、本当にあったことがIBMの技術者によって明かされています。
それからセルン。
物語中ではSERNと表記していますが、実在するのはCERN。
高エネルギー物理学の世界的な研究機関で、欧州原子核研究機構という名前です。
インターネットの基礎技術であるwwwやhttpを生んだところとしても有名で、巨大なドーナツ状の施設を使って、日々素粒子をぶつけて壊したり観測したりしています。
最近では、反物質を16分間閉じ込めることに成功するなど、ついこの間まで概念上の存在でしかなかった『反物質』を実際に研究できるところまで持ってきてしまい、世界中の度肝を抜きました。
あとは理論系ですね。メジャーなシュレディンガーの猫、コペンハーゲン解釈、多世界解釈からはじまって、時間順序保護仮説だの量子テレポートだのマイクロブラックホールだの事象の地平面(シュヴァルツシルト面)だの、カオス理論だのバタフライ効果だの……それから、タイムトラベルに関する既存の11の仮説も一つ一つ解説されます。そして、このゲームのあおり文句である、神をも冒涜する12番目の理論。
というかニトロプラス、デモンベインにクトゥルフネタを絡めてきた時も驚きましたが、こういうマニア垂涎のネタをからめてくるのが上手いですよね。
そして。
これらすべての面白ギミックをすべてブンまわして、文字通り世界を振り回した結末として最後に描かれるのは……いっそシンプルすぎるといってもいいラブストーリ。このギャップが、また、すごくよかった。
こうして書くとちょっと前のセカイ系みたいですけど……違うんですよ。いわゆるセカイ系では終わらない。主人公:岡部倫太郎は先に進むのです。
それにしても、精緻化リハーサルなんて言葉に涙腺を刺激される日がくるとは夢にも思いませんでしたよ(笑
ストーリに触れられないので、未プレイの人にちゃんと伝わるのか不安ですが、今挙がったような単語に興味を引かれるタイプの人には、かなりお勧めできると思います。
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